もう一つの旅
【文/長見 有方】 「倉吉とセルビア」展は5月の晴れた日、鳥取県倉吉市の町はずれにある廃業した木工所建屋という少し変わった会場で開かれました。天井の高い、体育館のような屋内に展示収納されている作品は、すべて一人の個人収集家のコレクションということです。会場の二つの壁面にはびっしりとスチールの本棚が設置されてあり、そこにバランスよく書籍と絵画などの作品が組み合わされ、展示されています。床には立体の現代美術作品や、未整理の書籍が入った段ボール箱が、ところ狭しと置かれていました。膨大なコレクションの大部分は書籍で、豪華本から文庫本まで実に多彩なジャンルの本が並んでいます。が、玉石混交、雑多、ではなく…