糸が結ぶ物語/吉岡まさみ
Akiko Koga 【文/吉岡まさみ】 セルビアの画家ミラン・トゥーツォヴィッチが53歳の若さで亡くなったのは2019年のことだった。心筋梗塞だった。2020年、Steps Galleryで預かっていた作品を飾って追悼展を開催した。作品は完売した。彼はローマ法王の肖像画を描くように頼まれていたのだが、作品に手をつける前に亡くなったのだ。無念ということさえ感じる間もなく、あっけなく天国に逝ってしまった。 亡くなった後も、ミランの影響力はさまざまな人たちに広がり続けている。ひょっとしたら、天国から話しかけたり、指示を出していたりしているのではないかと思われるほどだ。 ミランは、気に入った人、気に…