企画展「倉吉とセルビア」という祝祭
【文/竹氏 倫子】 鳥取県倉吉市の郊外にある「木工所」は、不思議な洞窟である。 もともと作業所であった空間は深い奥行きを持ち、その壁面は、足場板を組み上げた巨大な書棚によって床近くから天井の際まで覆われる。書棚は壁という壁を隙間なく埋め、それらは空間が尽きるまで続く。 書棚を占めるのは、木工所のオーナーであるアートコレクターN氏が、これまでに読了してきた本の数々である。画集、写真集、美術史研究の専門書から、歴史書、思想書、随筆等々に至るまで、書籍のジャンルは幅広い。 興味深いことに、N氏は書棚に本を置くことについて、「配架」ではなく「展示」という言葉を用いる。その真意を氏に尋ねたことはないが、…